Web Syllabus(講義概要)
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老年看護学実習Ⅱ
英 文 名:Gerontological Nursing (Practicum II)
科 目 概 要:修士 高度実践看護学コース前期、必修科目、実習、6単位
担 当 者:(◎は科目責任者) ◎杉本 知子※綿貫 恵美子※シェザード樽塚 まち子※蛯名 由加里※(実習指導者)小島 沙希子※(実習指導者)
実 習 場 所:北里大学病院
そ の 他:老年看護学分野

授業の目的

慢性疾患や機能障害をもつ高齢患者とその家族に対して、包括的なアセスメントに基づく専門的な看護判断を行い、状況の改善や課題の解決に向けた高度な看護援助を実施できる力を培う。さらに、専門看護師の役割とされる相談・調整・教育に関する老人看護専門看護師の活動を見学したり、実習指導者の指導の下でそれらの活動に取り組むことをとおして、老人看護専門看護師としての基盤となる能力を身につける。

教育内容

以下について学ぶ。
・慢性疾患や機能障害をもつ高齢患者とその家族に対する専門的な看護判断と看護援助(実践)、ならびに質の高い看護援助の提供に向けた教育活動(教育)
・慢性疾患や機能障害をもつ高齢患者とその家族に対する円滑な医療・ケアを提供するための専門職間のコーディネーション(調整)
・治療を受ける高齢患者とその家族が抱える倫理的課題とその解決に向けたアプローチ(倫理調整)
・老人看護専門看護師が行う相談活動の実際(相談)

教育方法

・慢性疾患や機能障害をもつ高齢患者3名を受け持ち、看護を実践する。
・受け持ち高齢患者の診断・治療、フィジカルイグザミネーションについては、医師による助言・指導が受けられるように調整する。
・受け持ち高齢患者に対する看護計画、および実施した看護の評価については、カンファレンスの場で発表し、意見交換を行う。
・受け持ち高齢患者への看護実践をとおして気づいた倫理的課題とその解決に向けたアプローチ方法について、病棟スタッフや実習指導者と討議する。
・質の高い看護援助の提供に向けた教育活動にも取り組み、実習指導者や実習指導教員と討議しながらその評価を行う。
・病棟実習終了後には看護実践に取り組んだ高齢患者のケースレポート、倫理調整活動や教育活動についてのレポートをそれぞれ作成し、発表を行う。

実習内容

項目内容担当者
2年次
6月中旬~7月上旬:実習準備 
・実習計画書および実習記録の検討
・実習に係る事前調整
事前準備は、以下のようにすすめる。
1.実習指導教員と学生の間で実習計画(実習の到達目標を達成するための具体的な実習方法)について検討し、その計画書案を作成する。
2.学生は、実習指導教員同席のもと、実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)との打ち合わせ会を開催し、立案した実習計画書案についての指導を受ける。
3.実習指導教員は、実習に先立ち、実習学生の臨床経験、学内での学習状況、実習の準備状況について実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)に連絡する。さらに、打ち合わせ会の中で指導上の役割と連携の仕方について、実習指導者や病棟管理者等と確認・調整する。
・主治医等への説明や指導の調整は、実習指導教員の依頼により、実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)が行う。
・実習病棟および関連部署との調整は、実習指導教員との協議のもと、実習指導者、あるいは病棟管理者等が担当する。
・教育環境の調整は、担当教員との協議のもと、実習指導者、あるいは病棟管理者等が行う。
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間 
慢性疾患や機能障害をもつ入院中の高齢患者と家族への看護を実践する(実習期間内には、以下の条件のいずれかを満たす高齢患者3名を受け持つ)。
①退院を間近に控え、様々な調整が必要な高齢者
②入退院を繰り返している高齢者
③疾患の再発や増悪の予防等に向けて、セルフケアの拡大が求められている高齢者
④エンドオブライフケアの提供が求められている高齢者
※受け持ち患者のうちの1名は、①の条件を満たす高齢患者とする(学生は退院支援・退院調整に取り組む)。

なお、実習期間中には高齢患者とその家族の意思決定支援に取り組んだり、上述の患者と家族のケアに携わる関係者間の倫理調整が実施できるようにする。
1.オリエンテーションにより、実習病棟における患者の生活と看護の実際について知る。
2.受け持ち候補者に対する実習協力の説明は、実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、文書を用いて行う。実習協力の同意が得られた場合、受け持ち患者となる。
3.主治医の指導を受け、フィジカルイグザミネーションを実施し、病態および身体的機能についてアセスメントを行う。
4.実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)の指導のもとでの看護実践をとおして専門的な知識と援助技術について学ぶ。
1)看護計画を立案する。立案した計画をチームカンファレンスで提案し、必要時修正する。さらに、チームの一員として看護援助を実施し、その評価を行う。加えて、看護計画に基づいて他職種と連携しながら活動し、チームカンファレンスでその評価を行う。
2)受け持ち高齢患者とその家族へ看護を実践する過程において、受け持ち高齢患者本人の意思決定を支援したり、家族の希望の調整等を試みる。
5.実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、高齢患者と家族への指導に取り組むと共に、他機関や保健医療福祉関係者との連携を図る。
6.倫理的課題に対して実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、倫理調整を行う(実施した倫理調整に対する評価を含む)。
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間   
・専門看護師の相談、調整、教育、研究活動への参画と実施1.老人看護専門看護師による相談、調整、教育に関する活動場面を見学する。
2.実習指導者、実習指導教員の指導のもと、実習病棟の看護の現状を分析し、看護の質の向上に向けた教育計画を立案して実施し、その評価を行う。
3.実習指導者とともに看護実践等に関する相談を受けて対応し、その評価を行う。
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間 
・カンファレンス1.実習病棟のチームカンファレンスにおいて、受け持ち高齢患者の全体像についての理解や看護の方向性、看護計画・評価について報告し、助言を得る。
2.実習指導者・病棟管理者等(看護師長等)・実習指導教員の参加のもと、概ね1週間に1回の頻度でカンファレンスを行う。カンファレンスでの討議により、慢性疾患をもつ高齢者とその家族に対する看護判断、看護援助の質を強化する。また、老人看護専門看護師の重要な役割である相談・調整・倫理調整・教育に関しても、適切な実施が出来るよう検討する。
3.実習の中間時点で、実習目標に対する到達状況を学生、実習指導者、実習指導教員で協議し、実習内容や方法の調整を行う。
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
綿貫 恵美子
シェザード樽塚 まち子
2年次
9月上旬~中旬 :学内実習
2週間
・事例報告、まとめ
・実習の評価
・実習終了後には、以下1~3のレポートを作成する(各レポートは、教員や指導者の参加のもとで発表する)。
1.看護実践に取り組んだ3事例のうちの2事例のケースレポート(退院が間近に見込まれている高齢患者のケースレポートは、退院調整の実際をテーマとしてレポート作成をする。このテーマでのレポート作成は、必須とする。)
2.看護の質向上に向けた教育活動
3.倫理調整活動
・発表会参加者との討議をとおして、慢性疾患をもつ高齢者とその家族への看護の専門性、老人看護専門看護師に期待される役割等についての理解を深めるとともに、自己の課題について明確にする。
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
綿貫 恵美子
シェザード樽塚 まち子
2年次
6月中旬~7月上旬:実習準備 
項目
・実習計画書および実習記録の検討
・実習に係る事前調整
内容
事前準備は、以下のようにすすめる。
1.実習指導教員と学生の間で実習計画(実習の到達目標を達成するための具体的な実習方法)について検討し、その計画書案を作成する。
2.学生は、実習指導教員同席のもと、実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)との打ち合わせ会を開催し、立案した実習計画書案についての指導を受ける。
3.実習指導教員は、実習に先立ち、実習学生の臨床経験、学内での学習状況、実習の準備状況について実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)に連絡する。さらに、打ち合わせ会の中で指導上の役割と連携の仕方について、実習指導者や病棟管理者等と確認・調整する。
・主治医等への説明や指導の調整は、実習指導教員の依頼により、実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)が行う。
・実習病棟および関連部署との調整は、実習指導教員との協議のもと、実習指導者、あるいは病棟管理者等が担当する。
・教育環境の調整は、担当教員との協議のもと、実習指導者、あるいは病棟管理者等が行う。
担当者
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間 
項目
慢性疾患や機能障害をもつ入院中の高齢患者と家族への看護を実践する(実習期間内には、以下の条件のいずれかを満たす高齢患者3名を受け持つ)。
①退院を間近に控え、様々な調整が必要な高齢者
②入退院を繰り返している高齢者
③疾患の再発や増悪の予防等に向けて、セルフケアの拡大が求められている高齢者
④エンドオブライフケアの提供が求められている高齢者
※受け持ち患者のうちの1名は、①の条件を満たす高齢患者とする(学生は退院支援・退院調整に取り組む)。

なお、実習期間中には高齢患者とその家族の意思決定支援に取り組んだり、上述の患者と家族のケアに携わる関係者間の倫理調整が実施できるようにする。
内容
1.オリエンテーションにより、実習病棟における患者の生活と看護の実際について知る。
2.受け持ち候補者に対する実習協力の説明は、実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、文書を用いて行う。実習協力の同意が得られた場合、受け持ち患者となる。
3.主治医の指導を受け、フィジカルイグザミネーションを実施し、病態および身体的機能についてアセスメントを行う。
4.実習指導者、あるいは病棟管理者等(看護師長等)の指導のもとでの看護実践をとおして専門的な知識と援助技術について学ぶ。
1)看護計画を立案する。立案した計画をチームカンファレンスで提案し、必要時修正する。さらに、チームの一員として看護援助を実施し、その評価を行う。加えて、看護計画に基づいて他職種と連携しながら活動し、チームカンファレンスでその評価を行う。
2)受け持ち高齢患者とその家族へ看護を実践する過程において、受け持ち高齢患者本人の意思決定を支援したり、家族の希望の調整等を試みる。
5.実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、高齢患者と家族への指導に取り組むと共に、他機関や保健医療福祉関係者との連携を図る。
6.倫理的課題に対して実習指導者や病棟管理者等(看護師長等)の指導のもと、倫理調整を行う(実施した倫理調整に対する評価を含む)。
担当者
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間   
項目
・専門看護師の相談、調整、教育、研究活動への参画と実施
内容
1.老人看護専門看護師による相談、調整、教育に関する活動場面を見学する。
2.実習指導者、実習指導教員の指導のもと、実習病棟の看護の現状を分析し、看護の質の向上に向けた教育計画を立案して実施し、その評価を行う。
3.実習指導者とともに看護実践等に関する相談を受けて対応し、その評価を行う。
担当者
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
2年次
7月中旬~8月:病棟実習
6週間 
項目
・カンファレンス
内容
1.実習病棟のチームカンファレンスにおいて、受け持ち高齢患者の全体像についての理解や看護の方向性、看護計画・評価について報告し、助言を得る。
2.実習指導者・病棟管理者等(看護師長等)・実習指導教員の参加のもと、概ね1週間に1回の頻度でカンファレンスを行う。カンファレンスでの討議により、慢性疾患をもつ高齢者とその家族に対する看護判断、看護援助の質を強化する。また、老人看護専門看護師の重要な役割である相談・調整・倫理調整・教育に関しても、適切な実施が出来るよう検討する。
3.実習の中間時点で、実習目標に対する到達状況を学生、実習指導者、実習指導教員で協議し、実習内容や方法の調整を行う。
担当者
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
綿貫 恵美子
シェザード樽塚 まち子
2年次
9月上旬~中旬 :学内実習
2週間
項目
・事例報告、まとめ
・実習の評価
内容
・実習終了後には、以下1~3のレポートを作成する(各レポートは、教員や指導者の参加のもとで発表する)。
1.看護実践に取り組んだ3事例のうちの2事例のケースレポート(退院が間近に見込まれている高齢患者のケースレポートは、退院調整の実際をテーマとしてレポート作成をする。このテーマでのレポート作成は、必須とする。)
2.看護の質向上に向けた教育活動
3.倫理調整活動
・発表会参加者との討議をとおして、慢性疾患をもつ高齢者とその家族への看護の専門性、老人看護専門看護師に期待される役割等についての理解を深めるとともに、自己の課題について明確にする。
担当者
杉本 知子
蛯名 由加里
小島 沙希子
綿貫 恵美子
シェザード樽塚 まち子

到達目標

1. 受け持ち高齢患者とその家族の看護上の課題を解決できる。
2. 受け持ち高齢患者とその家族の看護実践において、専門的な看護判断および援助技術を習得できる。
3. 実習施設における退院調整の実際と課題について説明できる。
4. 実習病棟における倫理的課題に対して倫理調整を実施し、その評価ができる。
5. 看護の質向上に向けた教育活動を実施し、その評価ができる。
6. 老人看護専門看護師の相談・調整・教育活動の実際について説明できる。
7. 慢性疾患や機能障害をもつ高齢者とその家族への看護において、老人看護専門看護師に期待される役割、および自己の課題について具体的に述べることができる。

評価方法

・フィジカルアセスメントにかかる技術の習得状況(10%):正しい技術を身につけ、その技術が確実に実施できる。
・実習内容・記録(40%):受け持ち高齢患者の健康状態等に応じた援助が適切かつ円滑に提供でき、その詳細が実習記録の中に正確に記されている。
・ケースレポート(30%):受け持ち高齢患者に実施した援助の過程について正確に記述し、根拠を踏まえたうえでその評価について明快に記述できている。
・教育活動に関するレポート(10%):看護の質向上に向けて実施した教育活動の詳細について正確に記述し、根拠を踏まえたうえでその評価について明快に記述できている。
・倫理調整活動に関するレポート(10%):実施した倫理調整活動の詳細について正確に記述し、根拠を踏まえたうえでその評価について明快に記述できている。

準備学習(予習・復習)・その他

1 実習の詳細は別途提示する。
2授業時に配布された資料や実習内容に関連した文献等を読むことにより、慢性疾患や機能障害を抱え慢性期にある高齢患者への看護に関する理解を深め、実習の場で習得した知識・技術を活用できるように準備を整えておく(4時間程度)。
3実習時に実習指導者・担当教員から受けた指導内容やコメント、作成したレポートに対する講評についての振り返りを行う。さらに、文献等を読むことを通して、指導内容やコメントについての理解を深めるようにする(4時間程度)。
4〔学位授与の方針と当該授業科目の関連〕
《修士課程(高度実践看護学コース 専門看護師プログラム)》
◎(1) 専門分野における卓越した看護実践能力
◎(2) 専門職者としての倫理的課題の解決能力、多職種と連携するための調整能力、コンサルテーション能力
(3) 専門分野の看護実践の中で、研究的手法を用いて課題解決する能力
◎(4) 専門分野における看護実践の質を向上させるための教育的役割を果たす能力
                                                         
◎は特に関連するもの、○は関連するもの

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書実習進度に応じて、必要な資料の配布および文献の紹介を行う。
参考書専門看護師の思考と実践井部俊子・大生定義医学書院
参考書現象学でよみとく専門看護師のコンピテンシー井部俊子・村上靖彦医学書院
教科書
署名
実習進度に応じて、必要な資料の配布および文献の紹介を行う。
著者・編者
発行所
参考書
署名
専門看護師の思考と実践
著者・編者
井部俊子・大生定義
発行所
医学書院
参考書
署名
現象学でよみとく専門看護師のコンピテンシー
著者・編者
井部俊子・村上靖彦
発行所
医学書院